お墓と墓地の形式について

墓地日本においては人が亡くなったときにはその亡骸をお寺や神社などの墓地に埋葬するのが一般的です。

「葬式宗教」と揶揄されることもありますが、普段はめったにお参りをしないという無宗教に近い人であっても、葬儀と埋葬の時には古式にのっとった儀礼的な方法で行われます。

日本国内で葬儀の方法に関連してくる宗教としてはまずもっとも多いのが仏寺によるもので、次いで神道式の神社での葬儀、それと全体数としてはそれほど多くありませんがキリスト教やその他の宗教によるやり方がとられることとなっています。

お寺の場合には全国ほとんどの地域で境内の中に墓地が併設されており、檀家の人が亡くなるとその家が所有している墓に納骨をされることになっています。

神社の場合には神社の敷地内に墓地はおかれていることはまずなく、専用の別の土地に墓地を作って埋葬をされることになっています。

キリスト教などの日本では少数派の宗教の場合も「○○教墓地」といったふうにその宗教法人が所有する専用墓地をそなえているということがほとんどでしょう。

ただし都内などでは人口に対して十分な広さの墓地を用意することができないお寺も多いため、移設をするときに別に墓地専用の土地を郊外に作るというケースも増えています。

昔ながらのいわゆる「お墓」は専門用語でいうと「墳墓(ふんぼ)」と言われるタイプのものを指しており、これが墓地内の割り当てられた土地に石碑とともに作られそこにお骨を収めていきます。

土地が十分にない地域や墓石としてお墓を持ちたくないという人向けに今増えてきているのが「納骨堂」という一か所の建物にロッカーのように棚を作りそこに家ごとにお骨を収める方法です。

墓地と墓石の種類と使われ方

墓地として使用されている土地にもいろいろな種類があります。

墓地の種類を大きく区別をすると、自治体などの公共団体が所有している「公営墓地」と民間の宗教団体や公益法人が運営している「民営墓地」、それに最初に述べたようなお寺や神社などが運営管理をする「寺院境内墓地」があります。

最初の二つのことを合わせて「霊園」という名称でまとめることもあり、土地施設名称も「××霊園」といったふうにつけられているのが一般的です。

民営墓地の場合、そこに埋葬される人の宗教・宗派が問われることはありません。

ですので例えば先祖代々の土地から引っ越して別の土地で新たな家庭を作ったという人などは地元とは別に自分たちの家庭のためのお墓を新たに申し込むことができます。

一方の「寺院境内墓地」はお寺のすぐ近くや裏庭部分に作られていることがほとんどであり、そのお墓に入りたいというときにはお寺の檀家に入らなければいけません。

檀家に入って寺院境内墓地に入るときには必然的にそのお寺の住職さんにお墓の管理をお願いすることになるため、入る前に葬儀を依頼するとともに戒名(法名)をつけてもらうことになります。

お墓は跡継ぎが必要になります

日本では昔より家制度が長く続けられてきたわけですが、そうした制度の名残をいまだに色濃く残しているのがこの墓に関しての跡継ぎ制度です。

昔ながらの方法によれば人が亡くなったときにはその戸籍に属しているお墓に入ることになります。

つまり結婚をして籍を抜き、夫または妻の戸籍に入ったという人は亡くなったときには新たな戸籍のある家の墓にはいることになります。

以前まではその墓を守るのは長兄であり、次男以降の男子は別の墓に入ることとなっていました。

また女性しか子供がいない家は墓の跡継ぎがいないということで別に墓を守る男性を立てないといけないといったこともありました。

現在でもお墓を承継する人のことを「祭祀主宰者」と呼び相続される立場の一つとしていますが、今では男性でも女性でも、また長男でも次男でもなることができるようになっています(地域や宗派によって違いがある場合もあります)。

もし地元から子供が引っ越してしまって跡継ぎがいなくなったという場合や、子供を作ることなく亡くなったというようなときにはいわゆる「墓じまい」としてお墓そのものが解体されてなくなるということになります。