お墓の形と種類について
私たちが普段墓地の中で見かけるお墓のほとんどが「合祀墓」と呼ばれる特定の家系に属する人をまとめて祀るために作られています。
これは日本独特の習慣であり、欧米などのキリスト教が一般的な地域においては家族単位ではなく個人一人ずつに対して一つのお墓が作られています。
「合祀墓」の特徴は墓石の表面に「○○家之墓」といったような家の名前とそのお墓である旨の刻印がつけられているということです。
地域によって若干の違いはありますが、その石碑にはほかに新たに入れられた個人の名前もしくは戒名などが都度追加されていくという方式がとられたりします。
ただし日本においてもそうした家単位ではなく個人それぞれにお墓を作る「個人墓」という方法がとられることもあり、その場合には表面に刻まれるのは「家」ではなく個人名となります。
個人それぞれのお墓に近いものとして「比翼塚」という夫婦二人が入る二人専用のお墓というものもあります。
その場合には表面に夫婦の名前が刻まれることとなっており、一般的には夫が右側に位置します。
夫婦同時に亡くなるわけではありませんから、先に夫婦いずれかがなくなった時点で比翼塚を作り、先に亡くなった人の名前を黒、存命の人の名前には朱色が入れられた状態で作ります。
そしてのちに残された夫または妻が亡くなったところで朱色を黒に塗り替えて比翼塚は完成となります。
宗教によって異なる墓石のきまり
日本で最もメジャーな宗教である仏教の方式によると、墓石の形状は縦に細長い直方体をしています。
ただし現在ではそれほど厳密に墓石の形について宗教的な定めが使用されているというわけではなく、自由に好きな形でお墓を作る人が増えているようです。
一般的な直方体の墓石の場合にもいくつかの方式があり、メインとなる石碑と台座の部分に花立や香立て、物置台、外柵、手水鉢などのほかの石造りを置くかどうかを建築時に選ぶことができます。
墓を新たに作るときには形状もそうですがどういった広さや大きさのところにどこまでの設備をつけるかでかなりかかる費用も変わってくるので、事前にお墓の区画の下見をしたりして見積もりをとってみることをおすすめします。
合祀墓の場合には一人分のお骨ではなく先祖代々のたくさんの人の分のお骨が入るため、石碑は三段型で中心に引き出しで中にお骨を入れることができる「納骨棺(カロート)」がついています。
新しいタイプの墓石としては高さが余りなく横長の西洋風石碑がついたものが人気がありますが、その場合も基本的な作りとしては石碑とともに納骨棺がついているのが一般的です。
仏教の中だけで比較をした場合には、墓石の形や広さなどにそれほど大きな違いはありません。
大きな違いとなるのはむしろ石碑に刻まれる文言の方で、墓石の表面にどういった文言がどのように刻印されているかということを見ればその家がどの宗派に属しているかを判断することができます。