遺言書が無効になってしまう場合とは

印鑑遺言書を作成するときに注意をしたいのが法的効果が認められる書式が守られているかということです。

書面として残される遺言書にはいくつかの種類があり、それぞれ「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」と呼ばれています。

このうち最も手軽に作るこができるのが「自筆証書遺言」で、作成をするときに法律の専門家を間に入れることなく全く完全に一人だけで作ることができます。

どうしても遺産分割を生前に指示しておかなければいけないような事情がある場合でもない限り、一般の人が作成する遺言の方法として多く選ばれるのも「自筆証書遺言」です。

自筆証書遺言では必ず自筆で記載をすることや、表題に「遺言書」という名前がついていること、また記載した日付が確定しており署名と押印があることといった条件がつきます。

まずそうした書式のルールが守られていないことには仮に内容がどれほど優れたものであっても遺言書として法的な効果を得ることはできません。

内容に不備がある場合もあります

それともう一つ注意したいのが、仮に正しい書式で記載をされている遺言書であっても、内容に不備があるために分割協議がまとまらないということもあるということです。

実際にあった例として遺言書には「Aに1千万円、Bに2千万円を与える」と記載があるにもかかわらず、死亡時の現金が1千万円しかなかったというような場合があります。

おそらく遺言書を制作した時点ではきちんと3千万円の現金があったのでしょうが、結果的に実態を伴わない内容になってしまったがために遺言書としての効力を失ってしまったことになります。

現金や不動産を特定の人を指名して相続させたい場合には、割合や死後確実に残るものをはっきりわかるように記載するなど、実現可能な方法で指定するようにしましょう。

ただし書式がきちんとしている遺言書であれば一部に不備があったからといって全く無効になるわけでなく、実現不可能な内容の部分のみが無効となり実現できる内容はそのまま法的効力を持ちます。