法定相続人の場合,借地権の相続は地主の許可は不要です
借地権は被相続人が亡くなった場合、一般的な遺産と同様に相続されます。地主の許可も不要で、改めて契約を結ぶ必要もありません。
地主に承諾料や更新料を支払う必要があるため、地主に一言「土地の賃借権を取得しました」と通知するだけで十分です。
承諾料は借地価格の10%程度といわれています。契約によって異なるので金額は前後すると認識しておきましょう。
地主は借地権者が亡くなったのなら土地を返してほしいといってきても地主に要求を聞く必要はありません。
ただし、建物の所有権については名義変更する必要があります。
遺贈は地主の許可が必要
被相続人から遺贈される場合は地主の承諾が必要です。
流れとしては、まず借地権の遺贈を有効にするために受遺者と遺贈義務者は連名で承諾要求を行います。
地主は承諾した旨を伝えます。口頭でも構いませんが、内容証明や配達証明郵便を使えば確実です。
承諾が得られたら、移転登記を行います。
もしも、賃借人から承諾を得られなかった場合、家庭裁判所へ申し立てをすることで借地権譲渡の許可を得られます。
申し立てが許可されないと借地権は遺贈できなかったことになるため、このような場合は弁護士に相談しましょう。
地主の許可があれば売却も可能
相続した借地権は売却可能です。相続したタイミングで売却する人も多くいます。
ただし、遺贈と同様に地主の許可が必要です。勝手に売却すると契約違反になるので注意してください。
承諾を得て売却をする場合も承諾料を支払います。
相続評価額の算出方法
借地権の相続評価額の計算は、自用地評価額と借地権割合を掛けて求めます。
自用地評価額とは更地での価格です。借地権割合は路線価図に記載されている割合になり、国税庁のサイトで閲覧できます。
例えば借地権割合が60%で、評価額が5,000万円だと相続評価額は3,000万円になり、相続税の対象となります。
ただし、この金額になることはほとんどありません。あくまで目安として考えてください。
借地権の相続で地主とのトラブルを避けるには
子供名義で借地に建物を新築するのは避けましょう。借地人の名義と建物の名義が違う場合、契約違反になります。
このような場合、子供名義で土地貸借契約を結び直してもらうようにして、建物を新築にするのが無難です。
また、二世帯住宅を許可なく新築するのもNG。このような場合も親の借地権を子供に転貸する許可をもらうようにしましょう。